聴覚障害者239人の聴導犬へのニーズ(2000年)

総理府調べによると、日本における聴覚障がい者数および視覚障がい者数は両者ともに、全国で約36万人(「平成9年度版障害者白書」より)と明記されています。しかし、この数は障がい者手帳を交付した数であり、聴覚障がい者の場合は、老齢性で難聴になったお年寄りに自覚がないために障がい者手帳の請求をしないままでいる方も多く、正確な数値では聴覚障害者は膨大な数になるといわれています。
 一方、英国では7人に1人がなんらかの聴覚を補う機器を必要とするとされています。これらの聴覚障がい者福祉のために、1982年から創設された英国聴導犬協会ではこれまでの18年間で千数百頭の聴導犬を訓練し、現在は年間150頭の訓練頭数を輩出しています。申し込み者は、聴導犬貸与の申請後2年間を待たなくてならないといわれています。
 また、英国では聴導犬ユーザーの90%ちかくが1頭目のリタイア後に、2頭目を希望するとまでいわれるほど聴導犬のニーズが高いものになっています。これらの状況を踏まえた上で、日本での聴導犬ニーズはどのようになっていくのか、今回の調査で聴覚障害者239人のご協力を得ることで、独自に調べてみました。
 一方、聴覚に障害がある方の生活の手助けをする聴導犬の育成は1976年のアメリカまでさかのぼります。聴覚に障害のある娘の独立のためにと、その両親が愛犬の聴覚犬トレーニングを訓練士に依頼したのが始まりでした。聴導犬発祥の国アメリカでは、公的な調査は約10年前の1991年度調べまでなく、当時19の団体から約3000頭が育成されていたといわれています。現在は33団体が確認され、その訓練頭数についての調査は残念ながらありません。 1991年の9年間でだいたい1000頭以上がさらに訓練されたのではないかと、いわれています。
 ただ。犬の寿命もあるので、実労数等はさだかでないといった方がいいでしょう。
 日本での聴導犬訓練は英国での聴導犬協会発足の1年前1981年(世界障害者年)から始まっています。しかし、これまでに訓練された頭数はわずか20頭あまり、実労数は10頭くらいといわれ、そのうちの3頭が日本聴導犬協会から輩出された訓練犬となります。
先ほど述べたように、英国では、これまでの18年間で千数百頭が訓練され、実労数650頭といわれていることからもわかるように、日本と英国とでは実労数での差は600頭以上あることになります。(日本聴導犬協会2000年4月)

長野県 委託調査 報告書「聴覚障害者239人の聴導犬へのニーズ」


(日本聴導犬協会2000年4月調べ)
M-239-tyoudouken-hituyousei (pdfファイル、1570762バイト)